中医・我が愛しの上海へ

帰脾湯の生薬量について

上海竜華寺にて

上海竜華寺にて

2019年が始まりました。
今年はもう少し更新できるように頑張りたいと思います。

宋代『済生方』起源の帰脾湯は、現在人に多いストレスでの思い悩みによる動悸や不眠、食欲不振などの時に使われる名処方なのですが、これ中国の中医薬と日本のエキスとでは生薬量や比率が大きく違います。例えば #中医学 での帰脾湯の黄耆は30gぐらい使うと習うのですが、某社のエキスでは3gほど。

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診察スケジュール

5歳ぐらいでも意外と多い夜尿症と中医学の活用

とはいえ、いくらトイレが間に合わなくても、駅のゴミ箱はダメでしょう・・・(上海にて)

とはいえ、いくらトイレが間に合わなくても、駅のゴミ箱はダメでしょう・・・(上海にて)

 あまり知られていないかもしれませんが、実は5月29日は世界夜尿症デーでした。
 夜尿症は、一般に5〜6歳すぎても夜のオシッコを失敗してしまうことをいいますが、中国でも意外と多いです。もちろん、上海でもよく見かけますし、こちらの日本人の子供達の間でも少なくありません。

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上海市における癌患者登録データ

最近整備された上海世紀公園のジョギングコース、1周5キロです。

最近整備された上海世紀公園のジョギングコース、1周5キロです。

上海市疾病予防コントロールセンターがまとめた上海市の最新の癌患者登録データについて、2014年度のデータが公表されました。その概略をみてみたいと思います。

上海市では、中国のなかでも癌患者の登録が積極的に行われている地域であり、2002年から行われています。ほぼ100%網羅されていて、WHOでも信頼できるデータとして定評があります。

上海市で2014年に新たに罹患した癌患者数は6.8万例で、新たな罹患率は477.8/10万人でした。まだ欧米先進諸国よりは少ないですが、それでも増加傾向にあります。また、死亡者のうち約3割は癌による死亡と考えられています。

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上海料理の春食材~草頭(ニセウマゴヤシ)、ダイエットに使えるかも?!

草頭(ニセウマゴヤシ)

草頭(ニセウマゴヤシ)

 地元奈良ではまさにいまが桜満開、上海では桜が散り始め、菜の花が満開です。
 さて、上海料理のなかで、春を感じる食材は色々ありますが、最近食べた食材のなかで、春を代表する定番ものをいくつかご紹介します。薬膳などを研究されている方は是非参考にどうぞ。

 今回は草頭(ニセウマゴヤシ)です。

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特発性間質性肺炎(IIPS)のうち、特発性肺線維症(IPF)の中医薬治療臨床研究

ハルビンにて

ハルビンにて

 特発性肺線維症(IPF)は、原因がはっきりと分かっていない進行性の疾患です。病理学的には間質性肺炎の組織学的な特徴を持ち、胸部CTは蜂巣肺に変化し、酸素が取り込みにくくなり、咳や痰以外にも呼吸困難・呼吸不全になることもあり、酸素吸入が必要になります。突発性間質性肺炎(IIPS)の一種で、特に全身の状態が思わしくなく、中国の内科学の教科書では、女性よりも男性に多く5年間生存率が20~40%と言われています。西洋医学では、ステロイド剤や免疫抑制剤を使うことが一般的ですが、中国ではここに中医薬(漢方薬)を介入させることで、色々な研究が行われています。

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2017年冬の上海でのインフルエンザ、中医学治療のガイドライン(抜粋)

瀬戸内海上空

瀬戸内海上空

日本で猛威を振るったインフルエンザでしたが、2017年冬~2018年春にかけての上海でも大流行しました。上海市疾病予防コントロールセンターなどからの情報を整理すると、2017年12月頃をピークにB型山形系統が流行し、ピーク時は患者全体の80%を占め、その後A型H1N1が流行、2月に入ってB型、A型が同じぐらいの割合になったということでした。3月になって、今は比較的落ち着いています。

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大和当帰と大和肉鶏と大和生姜の組合せ〜当帰鶏肉湯という中国料理方式での食べ方と乳管開通

大和当帰

大和当帰

奈良県の美味しい特産物がなかなか見つからない、食べ物に関しては「地味」だとよく言われるのですが、実は奈良県では美味しいものが沢山収穫されます。 
 詳しいことは奈良県特産品振興協会のサイトを見ていただくとして、今回は奈良県人の1人として、ぜひお薦めしたいのが、奈良の食材を使った当帰鶏肉湯という食べ方です。もし当帰の根っこが手には入ったら是非お薦めです。もちろん、当帰の葉っぱでも使いますが、中国では葉っぱは食べません。

 上海に20年以上暮らしていると、上海人の鶏肉好きはかなりのもので、結婚式などめでたいことがあれば鶏はとく登場します。中国では鶏肉というと野山で走っている地鶏一羽全体を調理するのが最高の贅沢の一つなのですが、実は奈良県もかつては家々で鶏を飼っていました。特に、「大和かしわ」は大正から昭和にかけて近畿圏ではかなり有名なブランドでもあり、京都のかしわ料理でも使われていました。ところがブロイダーが増え「大和かしわ」は一時衰退、それが1970年代から復活に向けて研究が進められ、「大和肉鶏」が生まれました。

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トリプルネガティブ(TNBC)乳癌患者に対する中医学の研究

上海でも梅がキレイに咲いています

上海でも梅がキレイに咲いています

  上海復旦大学附属腫瘤病院が発表した2008年~2016年までの8年間の中国での乳癌生存率報告によると、原発性乳癌の5年間生存率は97.9%、またステージⅡ~Ⅲでの5年間生存率はそれぞれ75%、61%ということでした。また、発病年齢の平均は45歳で、欧米よりも10歳程度若いのが特徴となっていました。 

 さて、乳癌の中でも、ホルモン受容体のERとPgRが共に陰性で、HER-2受容体も陰性である、いわゆるトリプルネガティブ(TNBC)タイプの乳癌は、乳癌全体の2割ほどを占め、3年以内の再発リスクが高く、乳癌の中でも治療法がまだまだ十分とは言えません。世界各国で研究が進められていて、中国でも中医学を活用した研究が行われています。

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